母が死ぬ夢を見て目が覚めた
僕は子どもの頃からよくマザコンだと言われていた。
長男一人っ子で人一倍強く母の愛情を受けて育ってきたし、思春期でも母と一緒に出歩くのを恥ずかしいと思った事はない。もちろん、暴力を伴うような反抗期も無かった。
成人してからも母の買ってきた服を着ていたし、最初の勤め先に面接の連絡をしたのも母の勧めがあったからだ。
僕にとって母は強く頼れる存在だったし、酒癖は悪いけど自慢の母だった。
ここ数年は東京に招待したり、お小遣いをあげたり、好きなブランドのバッグをプレゼントしたり…と、ちょっとずつ親孝行が出来ていたと思う。
今年の5月も母を東京に招待するつもりだった。
「母の為に何かしてあげたい」
その思いは今も変わらないんだけど、壊れてしまった母を見ると、やはりどこか納得出来ない自分がいる。
今後の介護の事や経済的な事など、解決しなければならない事が山ほどあり、母には生きていて欲しいけど、母が生きている事で大きな負担を強いられる人もいる。
僕は現実主義者なので、もしかしたら母の死を望んでいるのかもしれない。