自分以外の方がどのような事で悩んでいるのか、2,000文字程度で書いてもらいました。
テーマ1 : 母が認知症になったきっかけ
父は母より10歳年上で、父のほうが先に次第に体が弱くなっていき、それを見ていつも支えていた母は、どこかでストレスや疲労を感じていたことがきっかけと思われます。
事の始まりは、母はよくお札をいろいろなところに隠すようになったのですが、その場所を覚えておらず、何かを探すことに多くの時間をかけなければならなくなったことにあります。薬を入れている缶の中とか、引き出しの中とか、ありとあらゆるところにお金をしまい込むようになり、ついにはお金をしまい込んだころすら忘れてしまっていました。
年齢ゆえに年だからしょうがないのか、または認知なのか、判断に迷うところでしたので、物忘れ外来を受診してみることにしました。そこで、認知症が始まっていることを知りました。
テーマ2 : 実際の症状
母は夕方散歩に出ることを日課としていましたが、ある日いつまでたっても帰ってこないことがありました。
家族総出で探し出し、その時は近所の方が保護してくださっていました。この時、ああ認知症が本格的に出始めたな、と思い、覚悟しました。その後またしても帰ってこない時があり、その時は夜遅くまで探しました。
その時は、見知らぬ方が親切に保護してくださっており、やっとのことで見つけ出しましたが、それが信じられないほど遠くまで歩いていっていたので、驚きました。
これは何とかしなければ、と思い、彼女のために手押し車を購入しました。手押し車のふたを開けたところに、彼女の名前と住所、電話番号を記しておきました。散歩の時はそれを押して出ていくようになりました。
しかしまた、夜遅くなっても帰って来ない時があり、その時は警察にまでお世話になってしまいました。
この時も親切な通行人が、認知で迷っているのではないかと気づいて警察まで連れて行ってくださったみたいです。
しかし、部外者はわざわざ他人の手押し車を開けてまでチェックはしないもので、彼女の名前を中に記していたことは役に立ちませんでした。
彼女の自尊心を傷つけないよう、個人名は内側に書いていたのですが、他人はそこまでは見ることはないものだな、と勉強になりました。
デイサービスを選んだ基準ですが、母と一緒にいくつか回ってみました。やはり通う本人がいきたい、と思うところが決定基準になります。
しかし、いい大人が老人の年齢で、いきなり見ず知らずの集団に入り込むというのはまったくもって気が進まないもので、現実的に言えば、母はどの施設にも通いたいという意思は示しませんでした。
それは当然のことと思います。幼稚園や保育園選びとはわけが違います。結局、妥協で、ここならいいかな、というところに決定しました。スタッフさんがとても親切で、老人に対する扱い方や話しかけ方が私にも好印象だったので、その施設に決定しました。
テーマ3 : 経済的な負担とお金の工面
母はデイサービスに通うようになりましたが、それは彼女の年金で払うことができているので助かっています。
しかし、できないことが少しずつ増えていきますし、家の中の段差などで骨折転倒する危険を避けるために、家を改装する必要がありました。浴室のリフォームなど、ざっと300万は優にかかりましたので、それを少しでも補うために、正社員の仕事は続けています。
テーマ4 : 介護で苦労している点、対処方法
やはり彼女の人としての尊厳を保つことに苦労します。デイサービスに行くよう促すと、自分は邪魔もの、だから早く死にたい、という思考パターンに陥ります。
邪魔ものなんかじゃないよ、愛しているよ、と語りかけているものの、正直家で一日彼女をお世話することはできないと思っている自分がいます。仕事もありますし、家にいてもらって邪魔とは全く思っていませんが、でもデイサービスに行ってもらわなければ困るのも現状です。
彼女のプライドを傷つけずに介護することが、一番の課題です。対策としては、家ではいつも話しかけるようにし、家族の会話に加わってもらうようにしています。
彼女がどうしたいか、どうしたくないかをいつも尋ねて、勝手に決めてしまわないようにしています。
テーマ5 : 今後どうしていきたいか
ゆくゆくは老人ホームで生活することになるだろうと思われますので、それまで、まだ一緒に生活できている間は、自分にできる精一杯のことをしてあげたいと思います。
私の仕事の予定上、時々デイサービスのお泊りにいっていただくことがありますが、帰ってくると、何か顔が憔悴しきって戻ってくることがあります。
きっとデイサービスも老人でいっぱいで、スタッフさんは少人数で、全員に手が回らないものと思われます。ほったらかしにされた挙句、やはり母もお泊りに行きたくない、家がいいといいます。
誰だって外泊より我が家で寝るほうが落ち着きます。それで、できる限り家で介護して、もう無理だな、と思うところまではしてあげたいと思っています。