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募集記事 : 良心的価格のグループホームとの出会い、でも予想しなかった出費

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自分以外の方がどのような事で悩んでいるのか、2,000文字程度で書いてもらいました。

1.白内障の手術後約1週間後の脳梗塞の発症

平成16年(2004年)10月のこと。栃木県小山市で一人暮らしをしていた75歳の父が、両目白内障の手術を受けました。私は仕事が忙しい時期で、お見舞いに行くつもりがつい先延ばしになっていた頃の出来事です。

そこから1週間後の土曜日、休日出勤だった私の携帯に小山市の病院から留守電が入っていました。何事かと電話をしてみたら、父が脳梗塞でICUにいます、と告げられ、手術が無事終わって安堵していた私は、呆然としながらとにかく病院へ駆けつけました。

知人が訪ねてきていて様子がおかしいので病院に連れて行かれて、そこで左大脳の脳梗塞がわかったため処置が早く、ひとまず容態が安定しているとのことで胸をなでおろしました。手術をすることもなく翌日は一般病棟に移り、3週間入院とリハビリでマヒなどは残らず無事退院にこぎつけました。

ただ、白内障の術後経過を見せに行かねばならなかったのですが、それができず心配の種でしたがそれに追い打ちかけるように、先生からは認知症(当時はまだ痴呆症という名)が出ているので、介護認定を受け今後の生活をどうするかケアワーカーと相談するように言われました。その時に初めて「介護」という言葉を耳にしたわけです。

2.普通の生活ができるんじゃ?という疑問と現実

マヒも残らず、食欲もあり会話も普通にできていた父を見ると、確かに今はまだ目も悪いしこれまで入院したことなんてなかったから大変だろうけど、1ケ月くらい様子を見に通えば、その後はまた元通りになるのではと思わされました。

でも、父のアパートを観察すると、料理をした形跡もお風呂を使った形跡もあまり残っていません。冷蔵庫中にはスーパーで買ったお刺身や煮物などだけ。不審に思い、尋ねると手術の半年くらい前から食事はほとんど出来合いのお惣菜ですませ、入浴も週に2~3回だったことがわかり、一人で生活してゆくことはできないのがわかりました。目のことを尋ねると、ほとんど見えない、と言うのでこれは、白内障も良くなっていないのかもしれないと思いました。

また、話をしていても目の手術をした日やそこに至るまでの説明ができず、口ごもる父を見るにつけ、記憶が明らかにおぼつかないのがわかります。看護師さんからも昼夜逆転や譫妄などの症状が見られると聞かされたので、いよいよ施設への入居を考える必要性に迫られたのです。介護認定を受け、退院前日という日に要介護2の判定を受けました。

ケアワーカーさんは東京と小山を往復している私を気遣い、リハビリ施設なら少しの間いられるということで市内の施設に何軒かコンタクトを取ってくれましたが、空きはなく、そこでグループホームというものがあるということを教えてもらいました。父の症状ならば十分入居資格があるという言葉にわずかな望みを持つことができました。

3.良心的価格のグループホームとの出会い、でも予想しなかった出費

東京に戻り、自宅近くの施設を考えていた私は3軒の老人介護施設を見学に行きましたが、予想通り、入居金60万~100万、月25万という現実を突きつけられしかも入居半年待ちということで東京はあきらめ、ネットで千葉・埼玉・神奈川を検索しまくった結果、埼玉県鶴ヶ島市に2ケ月前にできたグループホームに奇跡的にヒット。

即座にアポを取りホームへ行き、ホーム長と面接しましたが入所金24万、月家賃54,000円、食費約33,000円、共益費25,000円と調べた中では破格の安さ。ただ、月に大体14万程度の費用+医療費で、年金ほぼギリギリです。

それでも、医療費は月3,000円程度でしたし、その他の個人出費(散髪代・髭剃り用品・入れ歯用品・洋服・靴)などは、節約できる自信がありました。リハビリパンツを使用するように言われましたが、それも区の補助で月500円程度。ホームへは買い物用として2ケ月に1万円程度を都度請求され現金で持参するシステムだったので、その時は父の貯金で何とかしようと思っていました。

それが、小山のアパートを引き払う時に想像以上の出費がかさみそこでかなりのショックを受けました。敷金がほとんど戻ってこない中、ゴミの処分と掃除、不用品の処分に20万もかかってしまったのです。今でもよく思うことですが、なぜ高齢者が2部屋もあるところに住むのか?洋服もないのに大きな箪笥を持ち、茶箪笥を置き布団を3組以上持つことで処分品は格段に多くなるのに・・・と泣きたくなりました。

入居して半年はそれでも父の貯金からベッドを買い、テレビ台を新しく買い、洋服を買い、介護用の靴を買い・・・と、最初の出費は仕方ないと100万ほど使ったと思います。入院費や老眼鏡を新しくしたりと医療費もけっこうかかりました。

そして1年近くが経った頃、その間にも新たな薬の追加や夜間の加算その他で細かな出費が増えていたところに、ホームの預かり金が2ケ月に一度3万円の自動引き落としとなり、いよいよ父の年金と貯蓄だけではいずれ足りなくなることがわかりました。やむなく、月に4日程度バイトをして3万円の預かり金を捻出しました。

4.親孝行な娘さんという評価への理不尽な反感と排泄問題

父は入所の3ケ月間こそ昼夜逆転や不眠に悩まされましたが、元から辛抱強く口数の少ない人でしたので、ホームのスタッフも扱いに困ることはなかったようです。ほどなくして笑顔を見せるようになり、ホームに数少ない男性として少々肩身が狭そうでしたが食事の前に「いただきます」の一斉挨拶の声掛けをするなどの役目を負うように馴染んでくれました。

戸惑ったのが、他の入居者の家族はほぼ団塊の世代という中で独身一人暮らしは私だけ、しかも東京から通っていたので地元の人との距離感がつめにくかったことです。

またホームがいろいろイベントに力を入れていて、夏祭り、クリスマス、日帰りバス旅行・・・と人数が増えてゆき規模の大きな集まりになっていったのです。他にも季節の主な行事や誕生日パーティーなど、月に一度は何かしら行事があります。

私は休日出勤もある仕事をしていたので、できるだけ行事の日には参加してはいたものの、たまに出られない時に後から「お父さん、さみしそうだったわよ~」と口々に言われ、その度に肩をすくめて苦笑い。

たまには誰か替わってほしい・・・と、すでに父と離婚して20年経つ母やアメリカに住む妹に愚痴をこぼしたくなりますが、それもできず。ホームの門が見えた瞬間から笑顔を作らなければならないことがとても苦痛な時期がありました。それでも、あまり自分の感情を表に出さず、苦しいとかつらいとか言わない父が、私が買っていった服を嬉しそうに見ている姿に「やっぱり自分がしなければ」と思うのでした。

もっとドメスティックに困ったのが排泄の問題でした。前立腺がんを患っていることと便秘によってかなり排泄のコントロールが年々難しくなっていて、漢方薬を飲むと今度はそれによって急な下痢のように粗相をしてしまう、夜中に何度もトイレに起きるなどの問題を報告されると、申し訳ないという気持ちと本人と相談することもできない自分がもどかしく情けない気持ちになります。

自分が手を汚していない人はいないなりに、高齢者の便秘は当たり前で薬を飲むのも当然、というような今の状況は変えられないものかと悩んでいるのです。CMで、おしゃれなオムツ、みたいなものを目にするとこんなもんじゃないんだと理不尽な怒りがわいてきます。介護認定の際にも、オープンスペースで調査員が大っぴらに「排便で失敗することはありますか?」などと聞いてくると、相手を殴りつけたくなります。悲しいことです。

5.幸運が落ちていることを信じて行動する

「地域包括支援システム」などという言葉のなかった時代に越境でグループホームに入居し、住民票は移さないで欲しいと言われたのを守って今でも現住所は私と同じ。

埼玉県民でない父の処遇で、今まで2回危機に陥ったことがあります。一つは、介護申請の手続きの連係が東京都と埼玉県という別の地域のためもあって時間がかかり、また認定調査員が自力歩行ができるというだけで要介護2だった認定を要支援にされたこと。さすがにその時は抗議して認定をやり直してもらいました。もう一つは、昨年私が神奈川県に引っ越したことで、これまで特例として埼玉県民でない父を受け入れてきたけれど、新たに事業所として神奈川県側と折衝しなければならず、場合によっては退去になると突きつけられたこと。

遠距離介護はこれからも当たり前になると思っています。でも、そこに住民票を持たない人がそこの地域のサービスを一部受けられない現実は、葬儀の時まで続くでしょう。

今の政権の、介護は家族単位・地域単位で面倒見るのが普通だろうよ、昔はもっと大家族でお嫁さんがすべて世話をするのが当たり前だったんだから、それに比べれば楽になっているはずじゃないか・・・という、狭い地域でのみ高齢者を囲い込もうとする姿勢には甚だ疑問と怒りがわいてきます。

人の移動も増え、家族のあり方も変わり、すべて目まぐるしく変わっている世の中を見ずに、高齢者を選挙の時だけ票の確保のためだけに長く生かしておく、そう思えてなりません。

ともあれ、父は今年で90歳。葬儀やその後のことも目の前に迫りつつあります。そこへ今年は母も要介護の申請をし、83歳で要支援2となりました。その対応に追われる毎日でもあり、日々の問題解決に精一杯です。でも、良く考えそして動くことでほぼ問題を解決してきました。

父の突然の介護の時に感じた、自分の運と縁と勘。これを頼りに、これからも介護を行ってゆきます。



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